涼宮ハルヒ シリーズ 二次創作
キョン子の探索 (愛称:キョンたん)
〜第六話〜(最終話)
小説:Tarota
挿絵:甘野氷
鶴屋さんの家はこの世界に於いても大きなお屋敷であった。勝ち組はどんな世界でも勝ち続けているんだとしたらやりきれないものがあるな。
以前は何も無い鶴屋さんの広い部屋でボンヤリと時間を潰していたが、今回は事情が異なる。
ずぶ濡れなのは俺と朝比奈さんな訳で、濡れた衣服を脱いだら二人で入ることになるのだ……お風呂に。
背中越しに衣擦れの音……水分を含んでいるから鈍いけどな……が聞こえる。憧れのシチュエーションに小さな胸の奥で心臓が可愛らしい音を立てて暴れている。このままじゃ風呂に入る前に倒れそうな程だ。
俺がグズグズしているのを見た朝比奈さんは、
「濡れたから脱ぎにくいの?」
そんなお声を掛けてきてくれただけでなく、姉としての責務に駆られたのか背中に回りこんで脱ぐのを手伝ってくれた。
手伝って貰うのは何度も経験しているが、全裸の朝比奈さんから発せられる温もりはそれまでに感じた中でもとりわけ強烈で、熱い位に感じてしまう。俺の体温が上昇している所為かもしれないな。
感動から微かに肩を震わせれば、それを感じ取った朝比奈さんがまた姉らしい優しい気遣いの言葉を掛けてくる。
「怖かったよね……」
落ち着かせようというのだろうか、伸ばした手が俺の頭を軽く撫でる。
溢れる優しさに心がじんわり暖かく、興奮で暴れていた鼓動も緩やかに、けれども胸の高まりは最高潮になっている。
「……もう大丈夫だからね」
続いて朝比奈さんは俺の肩を優しく抱いてきた。導かれるようにして顔が柔らかな弾力に吸いつけられる。聖母マリアの胸の内で安らいでる気分だ。ここが天国だと言われたら、俺は信じるね。
朝比奈さんに肩を支えられて一緒に湯殿への扉を潜る。
どこの温泉旅館に迷い込んだのかと思うような立派な大浴場の広々とした湯船の中、二人で寄りそうように湯に浸かる。丁度良い加減のお湯に、足を伸ばせるゆったりとした空間、安らぎを与えてくれる姉の存在も身近でこれ以上なく心休まる一時だ。
けど、本当に落ち着けるかと言えば勿論違う訳だ。何しろ憧れのお姉様であり、淫らな空想に耽るお供であるところの朝比奈さんが本当の目と鼻の先にいて、裸のお付き合いを正に実行中なのだ。上気してほんのり桜色の可愛らしいお顔が間近で吐息も聞こえるし、お湯の中でぷっかりと浮き上がる乳房も覗き放題で、先端の桜色の蕾まで鑑賞する事も可能なのだ。
「ふぅ〜。広いお風呂は気持ち良いわね?」
鼻の下が伸びるんじゃないかと思う程に鑑賞していたから、突然に言葉を掛けられて慌てて生返事をする。それからお姉様と二言、三言と言葉を交わしたけれど、やはりどこかギコチナイ感じになってしまい会話が続かない。肉体的にはよくある姉妹のスキンシップの一環なんだろうが、気分は混浴なんだから青少年としては心が落ち着く暇なんてないわけで、俺の緊張感と高揚感と期待感とが入り混じった感覚でイッパイな訳だ。
だから、朝比奈さんが湯船から立ち上がると、水滴が瑞々しいお肌を伝わって落ちていく様に見惚れるのも一瞬で、すぐに俺も従った。洗い場も充分な広さがあり数歩位では蛇口にまで辿りつけない。その間、魅力的な後姿……特に歩くたびに左右に振られる大きくて柔らかい尻肉の躍動が視界を捉えて離さない。誘惑の振動は誘っているようにも見え、このまま後ろから押し倒して淫靡な妄想を具現化してしまおうかという衝動に駆られる訳だが、勿論理性が勝っているぞ。まだな……。
蛇口が複数並んでいる、本当に大浴場仕様なので並んで腰掛ける。これは、あれか?『洗いっこ』というイベントを体験するチャンスなのか?そうだよ!姉妹関係なんだから姉の背中を流さなくてどうするんだ!!
そんな合法的な手段を閃いたのだが、行使する暇なく機先は制された。
「キョン子ちゃん。背中向けて」
天上の笑みを向けられて、即座に俺は回れ右をする。すぐさま泡だったスポンジが優しい加減で丁寧に摩っていく。
「痒いところは御座いませんかぁ?」
床屋の店員みたいな口ぶりに思わず笑みが零れてしまう。特に無い事を伝えると、
「解りましたぁ〜。それでは他の部分に移りますねぇ〜」
え?と思う間もなく、朝比奈さんの手が身体の前面に回りこんできた。
わき腹を攻め、お腹を通過し、更にその上へと進み、スポンジは俺の胸の上で踊り始める。そこには、ちんまりと盛り上がった胸がある訳で、丘の麓から徐々に頂上へと登っていく手の動きが絶妙な加減でくすぐったい。更には背中に押し当てられた、いや当たってるなんてレベルじゃないな、朝比奈さんの豊かな胸の塊が俺の背中に吸い付く位に接している。柔らかく滑らかで、しっとり濡れた朝比奈さんの乳房をクッションにして座っているような感覚だ。
ついつい背中に意識が集中するが、今度は俺の胸の上で新たな刺激が感じられた。スポンジがついに先端部分にまで到達したのだが、そこから戻る事はせず、捏ね回す様に動き始めたのだ。
「ひゃうん…」
可愛らしい声がつい上がってしまった。毎度ながら自分の声とは思えないな。
「動いちゃ駄目ですよぉ〜。キレイキレイしましょうねぇ〜」
朝比奈さんはマイペースに俺の胸を洗い続ける。いや、もうこれは身体を洗うことに託けて俺の反応を楽しんでいるだろう。こんなにも表面積の少ない先端部分を入念に洗い続ける必要なんてないもんな。
お陰で先端部分が隆起を始め、最近お馴染みになってきた『女性の快感モード』へと身体がシフトしていくのが解る。何だかアソコの奥からもセツナイ感じが溢れてくる訳だ。この状況じゃ、自分で慰めるのも難しいしな。お姉様責任とってくれるんですか?とか思考の方も混乱気味だ。
俺のそんな感情などお見通しなのか、朝比奈さんはようやく胸の洗浄……いやもう愛撫っていった方が相応しいかもな…を止めると、次の標的として俺の股の間を選んできた。
スポンジで敏感になっている部分を摩られては、俺の理性も崩壊寸前だ。このままお姉様の愛撫を受け入れたら、だらしなくイってしまうかもしれない。その後でお返しをするのが筋なのかもしれんが、俺の男としての精神が素早い逆襲を命じているのだ。関が原の戦いで言うところの正午頃だな。松尾山に鉄砲を射掛けろって事だ。
「お…お姉様交代ですぅ……」
快感で口がうまく回らない中、何とかその言葉を搾り出すと、クルリと身体を回転させる。両手を挙げて硬直するお姉様のお胸を、俺はいきなり掴んだ。
「ひゃあ〜」
お姉様は可愛らしいお声を上げてうろたえる。いきなり立場が逆転するとは思ってなかったのだろう。
「らめぇ……キョン子ちゃん落ち着いてぇ……二人だけでこんな事してるのが……また涼宮さんに……知られたらぁ……あふぅ〜ん」
また知られたら?ひょっとして、ハルヒと二人で閉鎖空間に閉じ込められた白雪姫事件の原因は、こちらの世界では朝比奈さんと部室でこんな風に絡み合っていた所為なのだろうか?そういえば、『部室でサカるの禁止!』とこの世界での初日に言われたな。
けれど、ここまで来て引き返すって方法は取り難い訳ですよ。男でも女でも、人間の三大欲求の一つを満たすのを途中で止めるのは非常に難しいのです。解りますよね?
そんな訳で俺は、お姉様の素敵な乳肉を揉み洗うのを再開した。物凄いボリュームで、俺の小さな手で洗うだけじゃ全然足りないな。となれば使えるのは口だろう。お口で綺麗にするって表現はありだし、唾液は消毒にもなるしな。
「あっあっあっ……吸っちゃらめぇなのれすぅ」
わざと音を立ててエッチな気分を誘発させる。舌で触っても胸の柔らかさは特級品で、マシュマロだとかお餅だとか比較にならない程だ。
夢中になって舌を這わせていると、先端部分が起き上がってきた。隆起した朝比奈さんの乳首はグミを口の中で転がしているような感触で、心なしか甘い味までも感じられる。
「らめれす、らめれす……」
うわ言のように繰り返してはいるが、振りほどいたり嫌がったりする様子はみられないから、全ては朝比奈さんの誘い受けだった……と考えるのは男心が産んだ勝手な妄想だろうか?
まぁ、兎に角、朝比奈さんは嫌がってはいないようだし、俺はもう限界だし、超えてもいいよな?一線ってヤツを。ルビコン河をも渡る決意をしてみたものの、この場合どうやればいいんだ?
俺が戸惑っている間に、お姉様の顔が接近していて……
ふわっと。
身体が浮かび上がるような気がした。天にも昇るような気分とはこういう事を言うのだろう。
原因は、お姉様の唇が俺の唇に接触した事にあった。キスとか接吻とかベーゼとか呼び方は色々あるだろうが、親愛の情がよほど高くないとこんな事は起きない訳で……。
いかん。何しろ初めての体験だし、相手は朝比奈さんだし、向こうからされたしで、混乱してきたぞ!
それに拍車をかけるのが楽しいのか、お姉様の舌が俺の唇をこじ開けて侵入してきた。
頭の中は完全に思考停止状態だ。されるがままに、口中で踊る舌を鑑賞するより他になかった。俺に出来る事といえばその舞踊に手を差し伸べて足取りを揃える事くらいだ。
口腔というステージで踊る舌のワルツ、俺と朝比奈さんとで創る甘い演舞だ。卑猥な唾液の水音がステップを奏でている。荒げた息がぶつかり合い、とろんとした朝比奈さんの恍惚の表情がボンヤリと映る。こっちもすっかり接触に酔いしれていて、もっともっと味わってみたくて更に更に接近した。
以前ならば、胸の内に朝比奈さんを捕らえる事が出来たであろうが、今では胸と胸とがくっついて顔と顔ともくっついている。殆ど対等な身長差である上に、女同士なので柔らかい肌同士が隣あったお餅のように吸い付いて感触がとても気持ち良い。弾力は圧倒的に朝比奈さんの方が大きいのだが、俺だって負けじと押し返している。
脳内は既に快感の波が溢れている訳で、今の身体でこうなっていると、当然のように下半身にある洞穴の奥からは切ない愛の泉が溢れ出している。どうにかしないと気が狂いそうな位だから、抱き合っている手の片方を回して慰めるのに使おうか。
突き動かそうとしてピンときた。俺がツライのならばお姉さんも同じなのではないか?という事に。
そうか、今が研究成果を試すときなのか!感じ易い部分は身をもって知っている。指使いにも自分では満足できるレベルにはある訳で、それが通用するのか楽しみでもあるな。
俺は右手を密着する身体に滑り込ませ、朝比奈さんの大事な部分へと潜らせて、まずは豆粒程の充血した部分を指で軽く抓んだ。
「あはぁ〜」
余りの快感のためか吸い付く朝比奈さんの唇がつと離れて、唾液の糸がキラキラ輝き棚引いている。
解っていますよ、朝比奈さん。指で転がすと更に気持ちよいですよね。研究データは絶大なパフォーマンスを叩き出している。よしよし。それでは、お姉様の中へと侵入を試みようかな。やっぱり入れられるより入れる方が元男としては嬉しい訳さ。
けど、あれ?おかしいな……。
自分のが此処だから、日毎の調査結果と今も疼く感覚から触らなくても位置は解るんだが、朝比奈さんので実地検証しようとすると何だか勝手が違うのだ。
逆位置からという問題と、形や穴の配置が違うなんて、この時は気が付かなかったし知らなかった訳だ、頭の中はやっちゃう事で一杯だったんだからな。
俺がパニックに陥っている間に、主導権は再びお姉様の手に転がり込んでしまう。
「キョン子ちゃん、らめよふざけてちゃ。女の子は清潔を保ってないといけないんですからねぇ。一緒に身体を洗いっこしましょう〜」
朝比奈さんは自分の身体を泡立てると俺の身体に擦り寄ってきた。全身をスポンジにして洗おうというのだ、それ何ていうプレイだ?と思いながらも、俺にとっては願っても無い状況だ。
いつしか床に転がり身体を絡み合わせ、一番汚いアソコの部分は腿を擦り合わせ振動させる事によって、程よいブラッシングで快感が押し寄せてくる。
俺とお姉様とで奏でる甘い声の合奏に、別の音が交ざっている事に気がついた。
「ゴン、ゴン、ゴン!」
恐る恐ると二人の首が同時に回転し、音のした方を探ってみれば、鶴屋さんがガラス戸をノックしていた。内側から後ろ手で。
「いつまで入ってるつもりっだい?」
冷ややかな視線と棘のある声。二人同時に急いで身体を離すと、慌てて石鹸を流して湯船にざっと浸かり、そそくさと立ち去る。この間も鶴屋さんの監視の眼が光っているので落ち着けない。少しでも余計な動作をすれば銃弾が飛んでくるんじゃないかという錯覚に陥る程の緊張感だ。天使の湯殿から非武装中立地帯の湯に早変わりだな。
タオルで体を拭くのもざっとで、髪を乾かす時まで落ち着かない。だからちょっぴり濡れ髪で、ポニーの角度も下がり気味だ。
着替えは篭の中に入っていた、鶴屋さんの物と思われる上着とパンツがそれぞれ一枚ずつだけだ。服は洗濯されちまったし、もう一度チャイナを着たい訳でもなかったが、俺や朝比奈さんが最初から着ていた私服じゃないっていうのはどう言うことだ?
「演出にょろ。超監督の指示だからっさぁ、仕方ないっよね」
俺のは縞パンで朝比奈さんは白だけどえらく薄い生地のやつだ。
「うひゃぁ〜」
可愛らしい声を上げながらも朝比奈さんは素直に与えられた服に着替える。俺も仕方なしに従ったさ。
鶴屋さんに先導されて、みんなが待機している部屋に到着する。てっきりハルヒに怒鳴られるかと思ったが、気味が悪い位に上機嫌でニヤニヤしている。
部屋の中には布団が敷いてあった。一瞬、ここで合宿か?と錯覚したが、そういえば撮影の続きが行われるのであった。確か古泉が朝比奈さんを介抱するシーンで、必要以上に接近するのを見てフレームインして蹴りを入れてやろうと思った程だったな。
「のもっさ!」
鶴屋さんが突然奇怪な言葉を発する。見れば、いつの間にかお盆に二つのコップを乗せて運んでいる。それを俺と朝比奈さんに差しだしてきた。
「まぁまぁ二人っとも。湯上がりの一杯でも、のもっさね」
湯上がりと強いられた緊張に、喉が乾いていたのだから大変ありがたい。これが罠だなんて事は喉を通してから思い出した。鶴屋さんとハルヒの目配せで気づくべきだったな。
確かこれはテキーラが混ぜてある鶴屋さん特製のドリンクだ。
うぅかぁつぅ……。
自己反省の思考も何だかフワフワと浮かぶような感覚だ。ついつい乾きに誘導されてグイグイと呑んでしまったのが仇となった。それでもコップ半分程だから、単に弱いのかもしれない。
「あふぅ〜」
横で朝比奈さんも愛らしい吐息を上げて、目をトロンと潤ませている。湯上りと相まって大変に艶っぽいお顔にドキッとさせられるね。
「あはは。ごめんよぉ〜。ジュースにテキーラを混ぜたのさ。これも超監督の指示でっねぇ。演技に幅を持たせる為の措置だから、本当っごめんよぉ」
口では謝っているが、誠意のかけらも感じられない笑い混じりの声だ。見れば、俺たちと同じ飲み物を全員飲んでいるようで、心なしか顔が紅潮している。
「なんなら、おつまみにスモークチーズもあるにょろ」
このままなし崩し的に事が進むと、ここが宴会場になってしまう。高校生にはまだ早い事態だと、フラつく頭でなんとか判断したが、ノーという意思表示に腕を交差させて×印を作るのが精一杯だった。
「にょろーん……」
視界がクラクラしてきた為か鶴屋さんの口が歪んでギリシャ文字オメガの小文字に見える。消沈する鶴屋さんに比べて生き生きしだしたのはハルヒだ。
「丁度いい頃合いね!イツキちゃん出番よ!」
ダウンした俺と朝比奈さんを布団に寝かせ、室内での映画撮影が始まった。運ばれるシーンまで撮られたが、朝比奈さんのみならず俺までもお姫様抱っこを体験させられた。抱きかかえられるという経験は精神的には屈辱だ。けれどまぁ、女版の古泉は顔立ちも可愛い……いや、角度の為か格好よく見えたりして、アルコールの所為もあるだろうが動悸がおかしいぞ。
それで本当にダウン寸前になった。布団に寝かされると演技ではなく本当に身動きがとれない位で、眠ってしまいそうになる。様子を確認する為だろうか?古泉が顔を覗かせてくる。
「大丈夫ですか?」
悪ぃ、結構アルコールが回ってるみたいだ……
そんな風に答えたかったが唸るのが精一杯だった。
古泉は隣で眠る朝比奈さんにも声をかけて、抱き起こして何をするつもりだ?様子を伺おうと入らない力を振り絞って頭を動かすと、鶴屋さんがカメラを構えて無言で「いけいけー」と拳骨を振っている。
そうか、これ撮影だったな。と、気を抜いた瞬間。チュっと微かに音が聞こえた。
「ふややや……」
情けない唸り声をあげる朝比奈さんは、そのまま意識が飛んだのか布団に戻って横で寝息を立てている。
古泉、お前俺のお姉様に何をしたんだ?まさか唇を交えた訳じゃないよな?
疑惑はすぐに判明した。何故ならば俺の方に向き直った古泉が抱きかかえて同じ事をしてきたからだ。
可愛らしく整った古泉の顔が近づいてくる。いくら美少女だとはいえ、元から女としてこの世界に存在しているからとはいえ、アイツの顔がチラついて見えて背筋に悪寒が走り、やっぱりその気になりきれない。
けど、もう俺に拒否できる力は残っておらず接近を止める事など出来無い相談だ。二度目のキスは甘い中にも強烈な刺激のする味だった。それも、その筈だろう。コイツ、俺に何か飲ませやがった。
恐らくさっきのジュースだろうが、この状態で少量とはいえ飲まされてキスの衝撃まで加わったら……
うう……ん……?
ねむけが、きゅうげきにおそって、くるよな?
「キョン子ったらお眠なの?」
そんな声も、どこかとおくにきこえて……
なんらか、めが、どんどんまわってくるお?
くるくるくる、まわって、ゆがんで……
のぞきこんでくる、ハルヒと鶴屋さんのものだと思われる顔も、しもぶくれでめがよっているようなへんな顔に見えて……
「ゆっくりしていってね……」
二人のハモった声までもうずまいて……
きえていき……
それが、おれがさいごにみたこうけいだった……。
……。
って、バットエンドかよ!!
いきなり目が覚めた、何か悪い夢を見ていた気もする。
なんて考える間もなく、目を覚ました原因が身体を駆け抜けた。
「あううううううう……ふみゅぅ……」
衝撃に口から甘い声が勝手に漏れてしまう。ついでに涎まで口の端から垂れる。頭をスパークさせる激しい感覚。
目が覚めると俺は、強烈な快感の海へ放り出されていたのだった。
「あ、キョン子やっと起きたのね!」
ブゥゥンと羽音にも似た音が幾重にも響く中、ハルヒの声が漂っている。
一体、どうなってるんだよハルヒ!そう言葉にしたつもりだったが、実際には「いひゃひゃ……」と喘ぎ声みたいな不明瞭な音にしかならない。
目が開いても景色はボンヤリというかキラキラと輝いて見える。溜まった涙が原因だと後で解ったが、目をパチパチさせると徐々に明快になっていく。俺を覗きこんでいるハルヒの顔がまず判明して、続いてその姿が裸だと言う事が解って……。
なんで裸!?
裸のハルヒが横に沿うようして寝そべっていて、手に持った何かを俺の胸へと押し付けている。首を傾けて確認すれば、それはピンクの卵型の物体で、俺の小さな胸の上を小刻みに飛び跳ねていた。
なんとなく解ってはいたが俺も裸にされていて、勃起した乳首に当てられているのはローターとか呼ばれる振動器具ではなかっただろうか?そして、そんな器具は俺の左右の膨らみの上を同時に跳ねていた。逆側を見れば、これまた裸の古泉がローターを押し当て笑顔で俺を見つめている。
複数聴こえる羽音の正体はこれだったのか、それにしてもどれ位の時間やられていたのだろう?快感がこれだけ積もるには、相当な時間が必要な筈だ。
いや、快感がここだけから発生している訳では無い事も直に解ったさ。意識がはっきりしてくるにつれて、下半身の特に股間の辺りが生暖かい何かで弄られているって事が判別できるようになってきたからな。
突起部分や淵を忙しく動くこれは何だ?
もう少し首を起こして確認してみれば、小さな頭が揺れ動いていた。短い髪の毛ということは長門だ。と言う事は何だ、俺の股間に舌を這わせてご奉仕中って状況なのか!?返事代わりでは無いだろうが長門は得意の甘噛を披露してきた、俺の充血した豆粒みたいな股間のアレに対してだ。
これは幾らなんでも激しすぎだろっ長門。まぁ、こんなのは序の口もいいところなんだが、この時はまだスタート地点にすら立っていない状況だって知らなかったんだから無理もないよな。
俺は長門の一撃で見事に撃破され、鳴くような声をあげさせられて全身の力が抜けた。
「キョン子、またイっちゃたの?」
……やはり何度もさせられていたのだな。両胸のローターが停止し長門の愛撫が終っても、身体の反応は止まらずに何もしないままに快感が押し寄せてくる訳だ。
「それじゃ、キョン子も目覚めたし、イツキちゃんアレ用意して」
「わかりました」
そんな会話もどこか遠くで、俺は快感の余波が打ち寄せる波間に意識を漂わせていた訳だ。ずっと攻め続けられていたのだろうな、身体が休息に安堵している。何だか物足りない気分も少しは感じるんだが、気のせいとして奥にしまっておこうではないか。
落ち着いてくれば周りが見えてくる。ここは、さっきも撮影に使われていた鶴屋さんの広いお部屋で、今は布団が敷き詰められていた。
長門がちょこんと黙って座っているのも見える。ハルヒと古泉は視界に見当たらないが、それよりも……さっきから耳を刺激する音が気になる。
荒い息遣いと甘い嬌声。それにどこか卑猥な水音。その主はといえば……
朝比奈さんと鶴屋さんが裸のまま奇妙な形で結合していた。駅前とかにある、よく解らないオブジェみたいな感じでだ。二人を繋ぐのは股間に差し込まれた棒状の物で、二人から溢れ出した液体によって妖しく綺羅めいている。
つまりこれは、女性同士で愛し合っている状態って訳か?突き上げられて感じている朝比奈さんの顔はどこか幸せそうで、鶴屋さんに嫉妬心が芽生えるのは何故だろうか。
「お待たせ〜!」
俺が二人の愛の形にヤキモキしている間に、ハルヒが舞い戻ってきた。裸なのは相変わらずだが、その股間に装着されているパンツにはどう見ても男のアレを模ったものがあって……何を始めるつもりだ!
「ナニって……いつもの事じゃない。簡単に酔いつぶれて可愛い姿を無防備に晒すアンタとみくるちゃんが悪いんだからね!」
何だその理屈は、いやそれよりも気にしなければならないのは迫ってくるハルヒの、俺に元から付いていたのよりも大きい物体であろう。
「準備はいいわよね?」
ハルヒの問いに答えるのは俺ではない。
「…………」
「ええ、ばっちりですよ」
いつの間にか俺の脚は左右から古泉と長門に押さえられて大きく広げさせられ……ちょっ……そんな穴まで広げるんじゃない……。遠慮なく秘密の丘に開いた裂け目を奥底まで見えるんじゃないかって位に引っ張られる。腰に手を当てて誇らしげなハルヒはニヤニヤとその光景を見つめていて。み…見るな!とこんな時なのに羞恥心が込み上げてきた。
ハルヒはそろそろと腰を落として、股間から生えている大きく太い卑猥な棒の先端を、いよいよ俺の中心へと突き入れようとしていた。
無理無理無理無理。無理だって!
そんな物が入る訳ないし、入れられるのも精神的にアウトだし、勘弁してくれってマジで!
勿論、非情のハルヒに俺の小刻みな震えなんて繊細な抗議が伝わる訳もなく、いよいよ内側に続く扉の淵を玩具の雁首がノックしたのである。
「今日はねぇ、キョン子を徹底的に犯したい気分なの!さぁ行くわよ!」
掛け声と共に一気に侵入してきた。ミシミシと音が聞こえるような感じで異物が土足で上がりこんでくるのを感じられる。痛みと衝撃と内壁を荒らされる嫌悪感と、とにかく負の感覚が一気に広がってくる。目の端から涙が自然と零れ出した。
今や下腹部全体が内側からハルヒに蹂躙され、奥まで届いたと思ったら今度は引き抜いていき、再び侵入を繰り返す。荒々しいピストン運動に益々の痛みを感じる。それを緩和しようという訳でもないだろうが、左右の胸を古泉と長門が弄ってきた。
長門はお得意の甘噛みと舌技で先端に程よい刺激を与えてきて、古泉は指で胸全体をマッサージするように揉んでくる。
「どうですか?女性の感じは?」
小声で古泉が話しかけてきた。痛みと快感で俺は訳が解らなくなっていたから、言葉じゃ上手く説明できない。
「成る程。気持ち良いけど痛いし、やられちゃう気分は複雑だ……とこんな感じでしょうか?」
本当は読心術の使い手なんじゃないかと思ってしまうな。接触テレパス何レベルだ?
「大丈夫ですよ、すぐに良くなりますから」
しかし、ハルヒの攻めは自分本位な身勝手なソレで、一人だけ気持ちよくなってるようだぞ。
「キョン子の中、相変わらず締め付けキツくていいわねぇ!」
ん?構造的にハルヒの中にも男を模した出っ張りが入っているにしても、そんな風に感じるものなのだろうか?宇宙人の技術か未来の技術か、それともハルヒの願望パワーがそうさせているのか。
それにしてもいつ終るのだろうか?古泉の言霊の所為なのか麻痺してきたからなのか、本当に気持ちよくなってきたけれど、こんな風にヤられる方に馴染むのは絶対にヤバイ感じだぞ。
それなのに、それなのに……。
「なんか込み上げてキター!」

ハルヒの言葉と共に、お腹の中で爆発する何か熱い感触。そんなバカなと思うが、俺はハルヒに膣内射精させられたのか?
茫然自失する中に、ちょびっと幸福を感じて……ああ……もう、どうなってんだ!?
「ふぅー。何だかすっきりしたわ〜。最近の玩具は凄いのね!」
本当にそうなのか?満足したハルヒが俺の中からソレを抜き出すと、ドロリと白い液体が糸を引いていて、良く知ってるから解るがソレ絶対に精子だぞ。
「玩具っていう言う事にしておいた方が良いですよ」
古泉が耳打ちしてきた。
「彼女が信じる限りそうなりますから……妊娠なんてしたくないでしょ?」
ハルヒの子供を身篭るとか冗談がきつ過ぎるな。確かに蓋をしておいた方が良さそうだ。白い液が飛び出すギミックだったのさ……赤いのが混じっているのは俺のだろうけどな……。妊娠はともかく、処女喪失だけでも充分に冗談がキツイ。何せ元の身体では経験はまだだっていうのにだぞっ!
「何よ、キョン子……気持ち良くなかったの?」
快感の度合いは兎も角、お前に処女を奪われたって事で、ちょっとブルーになってるだけだ……。
「はぁ?あんたまたそんな事を言ってるの?玩具を入れられた位で処女膜が破れる訳ないでしょ。漫画の読みすぎよ!」
お前の方こそ何を参考にそんな事を言ってるんだ?この痛みと血が何よりの証拠だぞ。
そう言おうとしたが、古泉が首を振って合図を送ってきた。まさか処女膜は破れる訳ないっていう幻想が実現するっていうのか?心なしか痛みが少し引いた気もするが……。
「ん?何?有希、交代したいの?」
いつの間にか長門がハルヒの側に移動して、股間の玩具を握っていた。コクリと小さく頷く長門。
ハルヒは玩具付きのパンツを脱ぐと手渡し、長門はすぐさまそれを装着して……俺に向かって歩いて来た。まさか交代とは、俺を攻める事の交代なのか?
「痛くはしない」
その言葉だけをぼそっと呟くと、有無を言わさず俺の中へと分け入って来た。
「うわー。ユキったらいつにも増して積極的ねぇ〜。見ていたら何だか火照ってきちゃったわ。イツキちゃん相手してくれる?」
「ええ、喜んで!」
瞳を輝かせた古泉とハルヒが視界から消えていく。俺はその光景をボンヤリ見ながら、再び狭い場所に押し入ってくる『初めての』感覚にまた苦しんでいた。ハルヒの時みたく乱暴じゃないとは言えやっぱり結構痛いぞ。
「あなたの性感は充分に理解している。直に気持ち良くなる」
長門は全てを俺の中へと押し入れた後、ゆっくりと抜いていき、入り口付近を旋回している。ゆっくりと腰を使って微妙な動きで俺の中を攪拌して……なんだこれ……変な感じだけど……なんだか……凄くイイぞっ!
押し上げられる感覚と内壁が擦られる感覚で程よい快感が形成されて……いやもう細かい事はいいから、余計な事を考えずに没頭していたい心地良さだな。
思いっきり甘い声で鳴いて、自分から腰まで動かしちゃって、存分に長門との絡みを楽しんでいく。本当に快感のツボを熟知していて刺激に慣れ始めた頃には、多彩な指技までも取り入れて失神する位にイかされてしまった。
バチバチっと弾けるような快感の余波を脳がゆっくりと消化していくのを待っていると、長門に犯されたんだと今更ながらに実感する。やばいぞ何だか流されているけど、次々と女性陣に貞操を奪われるっていうのは男としての沽券に関わる問題ではないだろうか。
俺がそんな危機意識に囚われながら、快感の残り火で暖をとっていると、三人目の人物が俺の前に現れた。
「よろしいですか?」
涼しい顔で見下ろしてくるのは古泉だった。まさか、お前も俺としに来たんじゃないだろうな?
「いけませんか?何しろボクにも権利はありますので」
何の権利だよ。と言う間もなく、俺の唇は古泉によって塞がれてしまった。舌を絡めてくる熱烈なキスはとても上手で、一瞬にしてまた快感のスイッチを入れられてしまい、色んな処が気持ちよい刺激を求めて自己主張を始める。
古泉はそれを的確に把握しているのか、素早く手を動かして乳首を抓み上げ、もう片手を湿る股間に潜り込ませる。
「あはっ」
勝手に嬌声が上がってしまう。軽くイってしまったみたいだ。
「その身体どうです?凄く感じやすい筈ですよ。何しろ皆さんに愛されて性感を発達させられてますからね」
何だと?それでお前ら俺の快感マップを所持しているのか。ひょっとしなくてもさっきの『権利』とやらが関係してくるのか?
その答えはすぐには得られず、再び愛撫されて軽くイかされた後に古泉が寝物語的に聞かせてくれた。
「実は以前、あなたを巡って全員がちょっとした冷戦状態になりましてね。領有権を取り決める無言に近い争いの結果、導き出された答えが『キョン子はみんなの嫁』という事なんですよ。SOS団員は平等にあなたを愛する権利を有するという訳です」
マジかよ。そんなトリデシャス条約もびっくりな条文をこっちの俺は認めたのか?
「頭を押さえながらヤレヤレって呆れていましたけどね。こういった『おふざけ乱交』の場では特に拒絶されていませんでしたよ」
これがおふざけだというのか……。さっきから俺はまわされてる状態だし、朝比奈さんはハルヒに組み敷かれてるし、珍しい組み合わせとして鶴屋さんの身体に長門が舌を這いずり回している。もうどれ位経ったか解らんが、ずーっとこんなエッチな行為に耽っているではないか、お前らの基準は絶対におかしいぞ。
「そうですかね?若くて性欲を持て余してる女性ですから、これ位は普通じゃないですかね?」
これが普通だとしたら男は何てツマラナイ悶々とした青春を送っているんだ、などと考えてしまい男に戻る魅力が少し霞んでしまったぞ。これはいけないと、古泉の身体を男性的視点で観察してみれば、魅力的な胸の膨らみと愛らしい顔立ちに目が奪われる訳だ。
「揉んでみますか?」
いつかもそんな風に誘われたな、今回は遠慮なくそうさせて貰うぞ。
「どうぞ、どうぞ。こちらもお礼は頂きますから」
俺が胸の先端にむしゃぶりつくのと同時に、古泉は腕を伸ばして俺のお尻を撫でてきた。ゾクゾクと走る新たなる快感。こんな部分まで感じやすいようにできているのか、この身体は。
それにしても、お前は道具を使わないんだな。
「あんなモノに頼るのは好きになれませんからね。ボクはやっぱり指と舌を駆使した昔ながらの手法が好きですね」
技巧を繰り出して一勝負してみたんだが、まったく戦いにならず一方的に蹂躙される訳だった。経験の差だから仕方ないとはいえ、やっぱり男として傷つくな。
それからまたイって、次に俺の前に立っていたのは朝比奈さんだった。装着しているペニスパンツの先端を恥ずかしげに押さえてモジモジしている。まるで童貞少年だな。そう思うと、ただでさえ可愛い朝比奈さんが、益々可愛く見えて自分から合体をリードしてしまった。すっかり受け入れ態勢に慣れつつあるのはヤバイな。
年上気分でお相手した訳だが、勿論実際には朝比奈『お姉様』っていう位だし、男役も取られてしまっているので、ギコチナイながらもツボを押さえた愛撫に感じやすい身体では太刀打ちできる筈もない。
甘いエッチの後、朝比奈さんは俺を優しく抱きしめてきた。愛と安らぎに溢れる至福の一時って奴だな。抱擁を楽しんでいる二人の前に、ハルヒを従えて鶴屋さんがやってきた。
「やっぽー!姉妹味比べを開催しようじゃないかぁっ」
その内容は正に混沌としていた。最初は妹をスワッピング〜とか言って、朝比奈さんが珍しくハルヒを組み敷き、鶴屋さんが俺を押し倒してきた。クライマックスではハルヒと抱き合った状態で下からそれぞれの相手に突き上げられるとかアクロバットなプレイまでさせられた。
けれど、こんなのもまだ序の口だったようで……。朝比奈さんと抱き合ったまま鶴屋さんに姉妹丼をご馳走したり、姉二人に前から後ろから差し込まれた上にハルヒの秘所を奉仕させられたり……。もう本当に滅茶苦茶で、終わりがまったく見えない乱交状態だ。
結局、夜通しこの乱痴気騒ぎは食事休憩を挟んで夜通し続き、俺は受け側としての参加しか許されず、成る程これが『みんなの嫁』という立場なんだなと充分理解させられた訳だ。
★ ☆ ★ ☆ ★
泥沼のレズ輪姦合宿から二日が経過して、俺はまたもチャイナドレスを着せられて映画撮影に参加させられていた。
流石に翌日の月曜日は授業中すらしんどかったから撮影は殆ど行われなかったから出番はあれで終わりだろうと安心していたのだが、翌日の撮影でまた超監督から指示された訳だ。俺に役を与えないと言っていた頃が懐かしい。
どうやらハルヒは俺の役をゲスト出演扱いではなくレギュラー化する事に決めたらしく、殆どが戦闘シーンと称する意味不明のドタバタで構成されているこの映画に於いて、俺の出番は古泉より遥かに多くなりそうだ。
それにしても俺の役どころは朝比奈さんのピンチを救いにきた味方って事だけでいいのか?
「勿論、設定はあるわよ!近いうちにそれを練り込んだシーンも構想中だから覚悟しておいてよね!」
まだ構想段階なのかよ。因みにどんな設定なんだ?
「誰に聞かれてるか解らないから軽く説明するだけよ……」
誰が聞き耳立てていて、そしてアイディアを盗もうというんだよ!そう思った時、長門や古泉が遠くの一点を見ている事に気がついた。その方向、校舎の角からチラチラっと影が動いていて、こちらを伺っているような視線を感じる。まさか、盗み聞きをしにくる敵が実体化しているというのだろうか?被害妄想ここに極まれりだな。
「キョンコはねぇ……」
聞かれている事を意識してなのか、ハルヒは小声で切り出した。
「未来からやってきたミクルちゃんの妹なのよ」
何だと?その割に初対面の時には、そんな素振りが無かったぞ。生き別れって設定とかなのか?
「近いけど果てしなく遠いわ。キョンコは未来の異世界からやってきたのよ」
……すまん、意味が解らんが。
「未来は確定的な世界じゃないから、今という時間から複数に分岐する未確定未来がいっぱいある訳じゃない。その中の一つにミクルちゃんがいて幼い頃に妹が死んじゃった世界と、キョンコがいて幼い頃に姉が死んじゃった世界とがある訳よ。それぞれの未来では死に別れたけど、過去の時間で姉妹が再会!お互いの使命は自分の時間軸へと未来を誘導する事なんだけど、それは再会した姉妹の絆を断つという事になるわけよ!どう?燃えて萌えでしょ?」
壮大な構想は結構なんだが、今の時点でそれを上手く消化できるとは思えんな。それと、その設定どこのスパ●ボだよ。
けどまぁ、その設定はその場にいた俺以外の人間には衝撃を与えたらしく、朝比奈さんは小刻みにワナワナ震えていたし、古泉は関心しきった表情で、長門まで微かに大きく目を見開いている。どうやら何かの真実に触れているらしいが、俺に出来る事は深く追求しない事くらいか。
それにしても「未来」の「異世界」からだって?その点については無視できないな。何しろ余りにも似ているから境遇だからな。
まぁそんな俺の知っている未来も段々と道を外れてきたように感じる。一方で、知っている事と同じような現象も起き始めていた。この後の数日間で徐々に校内に怪しい一団の影がチラついているようになったし、校門付近で何度も目つきの悪い光陽園学院の女子生徒がこちらを睨んでいるのを見掛けた。
これは、ハルヒの頭から漏れ出たアイディアが現実に影響を与えてるって事の現われなんじゃないか?尤も、女子生徒の方はどこかで見覚えがあるような気がするんだが。
「少々お時間宜しいでしょうか?」
古泉がこんな風に慇懃な態度の場合は気をつけた方がいい、大概悪い知らせだからだ。
いつもの黒塗りタクシーで移動すること暫し、着いたのは数日前の撮影で使われた神社だった。
「我々が発見した時には既にこうでした」
神社の境内には大勢の巫女さんが犇いていた。車が向かう先で大体想像はしていたが、壮観とか圧巻とかいう言葉じゃ足りないなこりゃ。
原因はやっぱりハルヒか?
「恐らくそうでしょうね」
以前の撮影でハルヒが言った「そこら辺から巫女さんが沸いて出てくれば」が現実に効果を発揮したと言う事か?
「そうですね。問題は出所です」
……巫女さんが集団で研修中っていう可能性はないか?
「ええ、勿論ボクだって、そうある事を願ってますよ。でも、それにしては様子がおかしいと思いませんか?」
ああ、勿論気がついていたさ。自分の身体をペタペタと触ったり、お互いに顔を見合わせては口をパクパクさせている巫女さん達が中に混じっているからな。どう考えても普通の状態な訳がない。
参拝客が姿を変えられるてるって事なのか?男女関係なく?
「『機関』のメンバーも調査中にうっかり脚を踏み入れてしまい姿を変えられてしまったようですから、強制的に変身させらるとみてほぼ間違い無いでしょうね。今は立ち入り禁止にしていますが、問題はやはりここにいる変身させられた巫女達でしょうか」
何てこった……。こりゃ俺が知っている世界の現象よりも遥かに性質が悪いぞ。そういえば長門が一つの方法を封鎖すると、より強力になるとか言っていたな。成る程、こんな事になるならば鳩で我慢しておけば良かったと思うわな。今更だが。
!?もしかして、もう一つの方も現実に影響を与えているんじゃないか?池の畔で撮影したときに言ってた「若い娘が溺れた悲劇的な池」という例え話のヤツだ。あいつのイメージは完全に「呪い」で池に落ちたヤツが水を被ると女になっちゃうふざけた体質になってしまうという、1/2的なそれだった訳だから、それが具現化しているかもしれないぞ。
「そうかもしれませんね。でも、わざわざあの池に入ろうって人は今のところ居ないみたいですから解りませんが」
いや、あの時点で入ったヤツがいる……谷口だ。
最近やたらと気になる視線の主。目つきの悪い他校の女子生徒の正体が谷口なのかもしれない。だとしたら、原因が俺たちにあるんじゃないかと探りに来たっていう可能性は充分にありえるな。今度、こっちから話しかけた方が良いだろうか?
俺がそんな風に考えている間に、古泉も別の思慮を巡らせていたようで真剣な面持ちで話しを切り出してきた。
「あなたは以前、別の世界で同じような体験をしたと語ってくれました。涼宮さんの一言で鳩が白くなったと。他にも様々な異常事態が映画に関連して発生したと。だから、この世界でも同じようになるのでは……と予言めいた推測もしてくれましたね、そして現実に起きています」
ああ。解っていても防ぐ事は不可能だったな。すまん。
いかんな、どうも自嘲気味になってしまう。
「それで、出来たらまた教えて頂きたいのです」
次に起きそうな異常現象か?
「いえ。解決策ですよ。あなたのいた世界では、映画の出来事が現実に影響したようですが、最終的には映画の中の出来事として収まったのでしたよね。できれば、その解決方法を今すぐにでも、ご教授して頂きたいのです」
どうやって帳消しにしたのかだと?
……。
そうだよ、俺には以前発見した『魔法の言葉』があったじゃないか!その一言をハルヒに言わせるだけで映画に関わる不可思議な出来事は全てご破算にできるのだ!
この巫女騒動だって、これから登場するであろうシャミセンに関しての一切も、それにこの世界で性転換してしまったと思われる谷口についても、みんなまとめて対処できる訳だ。まさに魔法の呪文だな。
「それは頼もしいですね!」
古泉が感嘆の声を上げ、満面の笑みを浮かべる。
まてよ!という事は……。俺自身についてもか!?
この世界の映画では俺にも役が与えられている。異次元の未来からやってきた朝比奈ミクルの妹という設定だ。恐らく、ハルヒは最初に映画を作ろうと思った時に頭の中でモヤモヤっとその設定を考え出したのであろう。ひょっとしたら、ハルヒが見たつまらない深夜映画の中で未来とか異次元とかが絡んでいたのかも知れないな。
兎に角、最初の構想段階の時点の内容により、俺がこの世界へと招聘されたのであろう。だからこそ、異世界に来た初日が映画の制作発表だった訳だ。
「成る程、それは充分に考えられますね……。けれど、種はもっと以前から蒔かれていたのかも知れませんよ?」
古泉、それはどういう意味だ?
「おそらくそちちらの世界でもそうだった思いますが、涼宮さんは入学時の自己紹介で言ったそうです……」
『この中に宇宙人、未来人、異世界人、超能力者がいたら……』ってヤツか?
「そうです。けれど足りませんよね。いや足りなかったというべきでしょうか」
異世界人か?俺も前から気になってはいたが。
「ええ。けれど『今』はいますね」
俺か?
「そうなんですよね?」
可愛らしい微笑みで尋ねられ思わず赤面してしまい、そっぽを向きながら「当然だ」と吐き捨てるように答える。
つまり、異世界人とも遊びたいという願望が下地にあって、それが今回の映画作成の構成段階に無意識に混じってきたという訳か。そういえばこちらの長門と最初に会った時、ここ最近では大規模な情報干渉は行われてないと言っていたような気がするな。
やはり俺の精神は映画の為にこの世界へと招聘されたものらしい、ならば映画から派生した世界への情報操作を全て虚構に変えられる魔法の言葉が効くって事だよな。
「恐らくそうなのでしょうね」
ハルヒの精神担当医のお墨がついて、帰りの切符を手に入れたも同然だな。まずは無事に映画を完成させなくてはなるまい。完成なくして終わりの言葉はないからな。
目処がついたところで、残った時間の異世界での過ごし方について、俺は色々と考えを巡らすのだった。何たって、女の子という身分なのだから、今の内に体験してみたいアレやコレやが脳裏に浮かんでくる。
まぁ尤も、この後の撮影でも様々なコスプレをさせられたり、キョン子のおもーい生理を体験したり、やっぱり女になっていた谷口と色々あったりと、大変な事が目白押しな訳だが、それはまた別の話としてほしい。
(完)
<あとがき>
長々と読んで下さった皆様、ありがとう御座いました。
書き始めた時には気楽に初めて、まさかこんな大作になるとは思いませんでした。
キョン文体でのエッチシーンは非情に書き辛く、お目汚しとなったかもしれませんね。
最後まで書ききれたのは、第一にはやはり挿絵の甘野氷さんが頑張ってくれたお陰でしょうか。
掲載場所も提供して貰ったし、段々と上手くなる絵に能力「対抗心」が発動したりもしました(w
後は「読んでるよ」と直接チャットやメールで応援してくれた友人達のお陰です。
やっぱり、誰も読んでないとモチベが下がるからね。
さて、今回の『キョン子の探索』は同人誌として即売会で販売する予定です。
そんな単行本化作業にこれから取り掛かる予定です。書き下ろしもちょこっと追加します。
詳細は特設ページにてお知らせ致します。
それでは、ご拝読感謝します。
2008.08 Tarota記
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